KAJU BLOG....2025 1 monthly

熊本県健軍の地で33周年を迎えるアントルメ菓樹が、
この度「KAJU BLOG」という企画を始めることとなった。
各地取材に赴き、公式Instagramや公式ホームページとはまた違う角度から、
菓樹商品の魅力をお伝えしていこうという企画だ。

あんなに賑やかだった新年のお祝いムードが、すっかり薄れる1月中旬。アントルメ菓樹では店頭にチョコレート商品が増え始める。
来(きた)る2月14日の一大イベント……そう、バレンタインデーに向けてである。

日本では一般的に、女性から意中の男性へチョコレートを贈り、愛を伝えるものとされているが、
本命チョコのほか、友達に渡す‘‘友チョコ‘‘、異性に感謝の気持ちを伝える‘‘義理チョコ‘‘、男性から女性へ贈られる‘‘逆チョコ‘‘、自分へのご褒美用の‘‘マイチョコ‘‘など、渡す人と受け取る人の関係性によって、その名目まで複数ある。

世間には、浮き足立つ人、気合を入れている人だけではなく、うんざりしている人、頭を悩ませている人もいることであろう。




今でも忘れられないエピソードがある。

中学2年生のバレンタイン、私は、当時好きだった人に手作りのクッキーを渡そうとしていた。
クッキーを渡すことの意味(友達でいようという意味らしい)はさておいて、とにかく背伸びをしたかったお年頃で、振られるなんてダサい!かっこ悪い!と、「勝ち確定じゃない戦いなんてしないわ」スタイルを貫いていた私。
仲の良いクラスメイトという距離感だった彼には、「友人たちにクッキーを配っていて、あなたの分もそのついでだよ」という体(てい)でさりげなく渡そうと思っていた。あくまでさりげなく、だ。

むろん、友情の証として、そしてカムフラージュの意味も込めて、友人らにもたくさん配らねばならない。
そこで、大量に作れて、なおかつバレンタイン然としていない気軽なクッキーを選んだのだ。

この年齢になって思い返してみれば、恋する気持ちを素直に口にすることの愛らしさったらないのだが、とにもかくにもそのような性分で、バレンタインの目的は告白ではなく、「好きな人にバレンタインでお菓子を渡したという達成感」に据え置いた。

当時、なんと幸運にも彼の後ろの席だったので、タイミングを見計らって
「そういえばバレンタインにクッキー作ったんだよね。余ってるけど、いる?」と切り出す作戦だった。(もっとも、へたくそにもほどがあるだろうと十数年後の私に苦笑されることなど知る由もないのであった。)

時間は1日あるのだ。焦らない、焦らない……と必死に言い聞かせていると、時の流れというのは実に冷酷無残なもので、あっという間に、次が最後の授業だという休み時間まできてしまった。

せっかく好きな人が振り返って話しかけてくれているのに、とりとめもない会話をしている場合ではない。言わなきゃ、言わなきゃ、と繰り返し自分を奮い立たせる。このままでは、深夜までクッキーを作っていた昨晩の自分が浮かばれないではないか!

そこで私に女神がほほ笑む。彼がため息をつき、こう言ったのだ。

「はあ~。バレンタインなのにチョコもらえなかったわ~。」
ビッグチャンス到来である。
「うわ~かわいそ~。」「うるせ~。」なんて軽口たたきながら、14歳、ついに腹を決めた。

「クッキー、余ってるけどいる?」

やっとこさ口から出たその言葉は、イメージトレーニングしていたよりもずっとつたなく、上ずった声に乗って……空に淡く消えていってしまった。

思い人は授業開始に備えて前を向き、姿勢を整えている最中で、私の言葉は届いていなかったのだ。

そのあとの展開については言うまでもない。一撃必殺と取り出した勇気の剣はぽっきり折れてしまい再起不能。好きな人に渡すはずだったクッキーは、帰り道で泣きながら自分の胃袋におさめた。20人ほどに配った中で唯一手元に残ったクッキーであった。

大人ぶって練った「友チョコの中に本命チョコを紛らわせる作戦」は、結局、一番受け取ってほしかった人の手にだけ渡らなかったという、ほろ苦い思い出として私に刻まれることとなった。




さて、このブログをここまで読んでくださったあなた。

どうか過去の私を笑ってやっていただきたい。「かわいそうね。」「でもかわいらしいお話ね。」と。
そして頭の隅っこにでもとどめておいていただきたい。あと一歩の勇気を出しきれなかったという記憶は、何年経てども、悔いを千載に残すことになるのだと。

そしてバレンタインに勇気を出したいと思っている方。是が非でも背中を押して差し上げたい。「やらぬ後悔より、やる後悔。」だと。

今回はバレンタインに勝負を仕掛けようと思っている方はじめ、「バレンタインどうしよっかな~」とまだまだお悩み中の方に、当店のバレンタイン商品のラインナップを一部ご紹介させていただきたい。

本気度、思いの強さがうかがえるのはまちがいなくトリフ。これを手にして高揚感を覚えない人間が果たしているだろうか。

熟練職人の手により作られたトリフ。
まず、フランボア、ほうじ茶、コーヒー、はちみつ、柚子、きなこ、アーモンド、スリーズの全8種類の味の中から、3個入り(フランボア、ほうじ茶、コーヒー)、5個入り(フランボア、ほうじ茶、コーヒー、はちみつ、アーモンド)、8個入り(8種類各1個ずつ)の3サイズ。

そしてジャパニーズウィスキー竹鶴を使用したウィスキートリフは、5個入りでご用意。
お酒を使用した大人向けトリフから、小さなお子様でも食べやすいトリフまで、隙のない品揃えだ。

リボンは1つずつ手作業でラッピングしており、パッケージのデザインとも相まって高級感がぐっと高まる。
まるで宝石のように輝くチョコレートが、大人のわくわくどきどきを呼び起こす。

恋人や大親友など特別な関係の方のほか、舌が肥えていて贈り物のハードルが高めな方にも良いだろう。

勝負に出たい、覚悟を決めたあなたの相棒におすすめしたいチョコレートNo.1。

性別や年齢を問わず、また、目上の方にも贈りやすい、お洒落で大人っぽいデザインパッケージの生ショコラ。
ピック付きなのもプレゼントとして贈りやすいポイント。

味は、「ノアール」(プレーン)、「岳間茶」、「ゆうべに苺」の3種類あり、素材がしっかり活きた濃厚な味わいを堪能できる。

生ショコラはチョコレート商品の中で唯一の冷凍販売なのだが、なんと冷凍のままでも生ショコラ特有の滑らかさを楽しめる。冷蔵庫で解凍していただくと、より一層とろけるようなくちどけに。

生ショコラ好きな方にはもちろん、苺スイーツ、抹茶スイーツに夢中な方にも、ぜひ生ショコラをおすすめしたい。ちなみに、私の周りでは、ゆうべに苺が一番好きだという声が多かった。
3種類それぞれ10個入りと20個入りの2サイズあるので、予算や相手の好みに合わせてプレゼントできる。

万人受けといえばのチョコレートロッシェ。誰が食べても美味しいと言うだろう。

バニラ風味のフィアンティーヌ(クレープ生地を薄く焼いてフレーク状にしたもの)と、香ばしいローストダイスアーモンドに、ミルクとダークのブレンドチョコレートを絡ませているのだが、ミルクチョコレートはミルク感が非常に強いため、サクサクとした軽い食感にミルキーな甘さが加わり、老若男女問わず食べやすい。

1つ食べるとまた1つ、また1つ……と止まらなくなってしまい、我に返ると一袋が空になってしまっている。「お菓子は少しずつ」という大人の理性を、ものの見事に打ち砕く。

小サイズは職場や仲間内のお配り用に、大サイズは小さいお子様からご年配の方にバレンタイン用チョコレートとしてご満足いただける容量だ。

「何を渡そうか迷う」「好みがあまり分からない」という方にもおすすめ。

ちょこっと変わり種、バトンオランジュ。
じっくり煮詰めシロップ漬けにした肉厚のオレンジピールに、控えめな甘さのチョコレートをまとわせている。

「チョコレートとオレンジって合うの……?」
と思われがちだが、苦みのない爽やかなオレンジと、厳選した上品質なチョコレートが絶妙なバランス感でマッチしており、唯一無二の美味しさがあるのだ。

小洒落たチョコレートを贈りたい方や、普通のチョコレートじゃ物足りない!という方にはもってこい。
オランジェットデビューとしてマイチョコにも良いだろう。

かわいいもの好きの心をくすぐるのはバレンタインバウム。

うまみが強くしっとりしている菓樹のバウムは、社内にもファンが多く、自慢の逸品。
期間限定のバレンタイン仕様ということで、ストロベリーチョコでコーティングし、ドライストロベリーやナッツ、カラフルキューブチョコ、ハートのクッキーのデコレーションを施している。

可愛さも美味しさも詰まったバレンタインバウムは、女性への贈り物として、友チョコにはもちろん、男性からの逆チョコにもお誂(あつら)え向きだ。

チョコレート感が強すぎるものが苦手な方や、バウムが大好きだという方におすすめしたい。(チョコレートをもらい過ぎてチョコレート以外を欲していそうな方にも良いかもしれない。)

さて、ここまで名前を挙げたのはバレンタイン期間限定のチョコレートだが、
通年販売しているこころ音ショコラ、冬季限定販売のノアールショコラも、もちろんバレンタイン用ギフトとして大人気だ。

こころ音ショコラは菓樹でふろらんたんに次ぐ人気を誇る、まるでフォンダンショコラのようなソフトクッキー。

単品売り、2個入り、5個入りがある。何を隠そう私が一番初めにドはまりしていた焼菓子である。

ノアールショコラは、濃厚なチョコレートケーキ。

社内でも大変人気が高く、味に定評がある。
実際、ブログ執筆に当たって行った、「一番美味しいと思うバレンタイン商品は?」という社内アンケートでは、堂々たる1位を獲得した。
(ちなみに、2位が生チョコプレーン、3位がチョコレートロッシェだった。参考になれば大変幸いである。)

毎年バレンタインが近づいてくると、あのとき渡せなかった手作りクッキーのことを思い出す。

彼とはその後何もなく、高校も離れてしまったため、ただの中学時代の同級生の一人となってしまった。あと少しの勇気を出しきれなかったことへの悔いは、きっとこれからも消えないだろう。



今回のブログが、バレンタインに頭を悩ませている方の手助けになること、そして、バレンタインに勇気を出そうと思っている方の背中を押せることを願って、筆を置く。